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更新日:2013年6月10日
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平成21年11月25日、森林総合研究所九州支所と合同で「平成20年度九州地域研究発表会」をくまもと県民交流館パレアで開催しました。
今回の発表会は-スギ人工林をめぐる最近の研究から-と題し、以下の4つの発表を行いました。
九州育種場は木材生産の増大に貢献する品種を開発するため、昭和32年から精英樹選抜育種事業を進めてきました。各品種の特性を明らかにし、優良品種を選ぶために、様々な品種を植栽した検定林(試験林)を九州各地に設定し、定期的に調査しています。
これらの検定林の中には植栽後 30~40年経過したものがあり、収穫時期(伐期)に近い林齢の調査データが集積されつつあります。近年はこれらのデータに基づいて、成長・材質に優れた推奨品種を選定し、普及を進めているところです。
このような従来の品種開発の方法は開発まで 40年以上の時間がかかります。そこで、これまでに得られた検定林のデータ等を用いて、より若い林齢の時点で得られた調査データから、将来の成長や材質が優れた品種を絞り込むことが可能かどうか検討を加えています。今回はそのような優良品種の早期選抜手法について紹介します。
九州のシカは近年分布を拡大してきており、 シカ生息域でスギ造林を行う場合、シカという動物の特性や地域性を踏まえた上での被害対策が必要となります。
また、柵などの資材による防除のほかに、シカの生息動向の把握や個体数の調整など、 地域に生息している群れの管理も合わせて進めていく必要があります。
研究からは、 九州山地のシカは定住性が高く行動範囲は比較的小さいことや、皆伐を行った場合でも、その後草本や幼木が生えてくる数年のうちに、 シカがその跡地を集中的に利用することなどがわかってきました。
そこからは、被害発生地や植栽予定地の近くで捕獲を集中させることがより効果的な被害軽減につながると予想できました。
現在は特定鳥獣保護管理計画などの制度によってシカの保護管理が行われていますが、 狩猟者人口が減少する中、生息数のコントロールが必ずしも目標通りに行われているとは言えず、被害軽減のためには様々な角度からの取り組みが必要となっています。
スギを中心とする人工林の成熟化や大規模国産材加工事業体の操業など、国産材需要拡大への条件が整いつつある中、森林組合には生産力の担い手として素材生産(=林産事業)の拡大が期待され、その手段として「提案型集約化施業」が森林組合系統、あるいは行政を挙げて推進されてきました。
しかし、一部を除きこの取組の進捗状況はあまり良くありません。
その理由を明らかにするために、本研究では、(1)「提案型集約化施業」とはどのような内容をもつのか、 (2)なぜ森林組合が主な担い手とされるのかなどを整理し、その上で、(3)全国及び熊本県下での取組状況を分析しました。
その結果、「提案型集約化施業」は従来から団地化・施業集約化として取り組まれてきたものの、その一層の推進・定着のためには森林組合の組織や経営体制まで含めた見直しも必要なのではないかということが明らかになりつつあります。
九州の人工林資源は、 育林期を過ぎ収穫期を迎えつつあります。
その資源を有効に利用していくためには、木材を生産する川上と製品を造る川下が連携していくことが重要です。
その際、川上の山側では木材を安定的に供給していくことが求められます。 木材を安定的に供給するためには、森林資源の状況を正確に把握し、必要なときに、必要な量、必要な質の材を出荷できるように、 森林をストックヤードとして機能できる場所にするための情報整備をしていく必要があります。
では、どのような情報を整備し、どのような体制で森林を管理運営していけばいいのでしょうか?
今回は、現在開発中の森林GISをベースとした森林管理システムの紹介をするとともに、その運用体制について提案をしたいと思います。
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発表終了後に行われた総合討論では、傍聴された方々から質問があり、発表者によるより具体的な説明を行いました。
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