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全国(北海道を除く)に被害が及んでいるマツノザイセンチュウによる松枯れに対処するため、九州育種場では、マツノザイセンチュウに抵抗性があるマツ類の品種開発を行っています。マツノザイセンチュウに抵抗性がある品種を選び出すために、候補木にマツノザイセンチュウを人工的に接種して、その後の生存状況を調査します。
今回は、接種用に培養したマツノザイセンチュウの洗い出し作業及びマツノザイセンチュウの人工接種について紹介します。
人工接種に用いるマツノザイセンチュウは、シャーレで培養した後、培地から分離するための洗い出しを行います。
令和5年7月18日、洗い出し作業当日は、福岡県農林業総合試験場資源活用研究センターの職員の方々等が来場され、洗い出し作業の講習を行いました。
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福岡県農林業総合試験場資源活用研究センター職員等の
マツノザイセンチュウ洗い出し作業の講習の様子
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まず、二重にしたガーゼを取り付けたロートに水を溜め、マツノザイセンチュウを培養したシャーレを浸します。(写真1)
このまま1時間程度放置すると、ガーゼをすり抜けたマツノザイセンチュウが管を下ってきます(写真2)ので、それをメスシリンダーに回収して洗い出し作業は終了です。
(写真3)
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写真1 | 写真2 | 写真3 |
7月19日と20日、サウナのような暑さの中、九州育種場職員総動員で、マツノザイセンチュウの接種作業を行いました。
人工接種は、ナイフにより苗の樹皮を削る担当とマツノザイセンチュウをマイクロピペットで一定量接種する担当が2人一組となり行います。
接種後3週間ほどでマツノザイセンチュウへの抵抗性が低い苗木は茶色く枯れ始めます。
接種後、一定期間経過しても健全な状態が保たれている苗木は次の検定へ進みます。複数回の検定により抵抗性があることが確認された苗木を抵抗性品種として申請します。
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苗の根元付近を削る作業 |
マツノザイセンチュウの入った液は食紅で
色付けして使用します
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ナイフで傷つけた箇所にマイクロピペットで |
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人工接種作業の様子 | 人工接種後、1ヶ月経過した苗畑の様子 |
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