役目を終える木橋「かっぱ橋」:吊上げ移設実験 This content is Japanese page only. 2003/11/06撮影。2004/04/06作成。文責:軽部正彦

季節の話題

役目を終える木橋「かっぱ橋」

昨秋の終りに、かっぱ橋を訪れた。1990年5月に竣工した、広島県福山市山野峡(やまのきょう)県立自然公園内に位置する、木造下路式単純トラス橋「かっぱ橋」である。

公園内キャンプ場を二分する川を跨ぐ、36mと18mの2つの橋をあわせて「かっぱ橋」と名付けられた。猿鳴峡など、若葉・紅葉の観光名所の中に在って、利用する人も多かった。13年の年月を経た木橋は、幾度かの補修と塗装が施され、まだ使えるとは云うものの、部分的な傷みがあるなどの事実を考えて、この冬の渇水期に架け替えられることになった。
参考: 土木学会 木橋技術小委員会 事例集 かっぱ橋

この架け替えに際して、木橋の耐久性研究を蓄積してきた森林総合研究所と、橋を継続的に調査してきた広島県立林業技術センターが共同して調査・実験を実施した。木橋を構成する部材の非破壊強度や含水率、劣化調査をはじめ、載荷実験、移設実験など、多岐に亘る調査である。右上の写真は、18m支間の木橋を移設のため吊上げたところである。

この木橋は昨年末に分解撤去された。その後にはこの春までに、同じようで違う、鋼製トラス橋が架け代わっている。

背後に猿鳴峡が控えるかっぱ橋 36m支間の橋内部(二径間を繋ぐ中州付近) 36m支間の橋(中州から入口側橋詰方向) 淵の上を跨ぐかっぱ橋

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Masahiko KARUBE, Ph.D.
Laboratory of Engineered Timber and Joints
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