平成17年度一般公開 This content is Japanese page only. 2005/04/20撮影。2005/07/07作成。文責:軽部正彦

季節の話題

平成17年度一般公開

今年度の一般公開には、材料接合研究室から二つの素材を提供しました。


一つ目は木質構造接合部の新しい補修・補強方法で、地震などで建物などが変形し、それに耐えた接合部の強度が落ちてしまったものを回復する技術です。接着剤を充填して木材を補修するこの技術は、従来、接着剤注入で一般に行われている加圧注入法ではなく、減圧雰囲気を作り出して接着剤を行き渡らせるところに特徴があります。また副次的な効果には、接着剤が飛び散らないことや、接着剤の充填操作中の気密補修が簡単に行えるなど、現場にとっては嬉しい内容が含まれています。なお、この成果は「各種資材の修復・強化方法」として特許申請中です。


二つ目は平成の架け替え事業で役目を終えた錦帯橋の部材展示です。山口県岩国市にある錦帯橋は、平成13年末から平成16年春の足掛け4年をかけ、全5橋全長195.7mを架け替えました。冬の渇水期に合せ、現場での工事期間を三つに分けて行われた架け替えですが、展示した部材は、最初に架け替えられた中央第3橋の部材です。錦帯橋は岩国市が管理しているものです。これまで、神山幸弘名誉教授を中心とした早稲田大学の研究グループが長く技術的な支援を行ってきましたが、今回の架け替えにあたっては東京大学 坂本功教授、腰原幹雄助手(現東京大学生産技術研究所助教授)を中心としグループが研究調査を実施し、一部を実験室に持ち帰って強度試験しました。展示した部材は、その残りを岩国市から譲り受けたものです。

平成の架け替え事業は、過去にも季節の話題として取り上げていますが、人の生活に木材を活かす知恵は、長く使われた木材と木構造が、「そっと、やさしく」教えているので、耳を傾けて聴き取って行きたいと思っています。




夜明けの錦帯橋 /第2期工事を終えた錦帯橋 /架け替え最終年度の錦帯橋

季節の話題の変遷
Masahiko KARUBE, Ph.D.
Laboratory of Engineered Timber and Joints
Department of Wood Engineering, FFPRI
PO Box 16, Tsukuba Norin, 305-8687
phone: +81-298-73-3211 ex.585
facsimile: +81-298-74-3720