季節の話題 This content is Japanese page only. 2001/06/07作成。

エコマテリアル

軽部正彦


木材が自然に存在する優秀な構造材料であることは世界各地の大木や巨木が巨大かつ長寿命な構造物である事実から明らかです。このような木材を利用してきた事実は枚挙に暇がありません。

その一方、自然界の循環の中で活きる樹木は、発生・成長・分解を自然環境のなりわいの一部として存在しており、この自然循環の時間の一部を、人間利用の時間として別けて頂いているのが木材と言う考え方も出来ます。

現在まで木材をめぐる研究の取り組みは高度加工技術の開発に主眼が置かれ、一部このような特性を忘れたかのように見えることも事実です。高度加工技術は、どのような解釈が可能であるとはいえ、消費エネルギーは増大方向、エネルギー供給源は化石燃料と言う一般社会的背景と大きく懸け離れている訳では無いと言わざるを得ません。そのため、一歩社会から不要になって廃棄物として排出されてくる場合には厄介なゴミの一部として扱われ、他の金属等に比べてリサイクルの難しい材料のような低位再利用資源と見なされがちです。

石油石炭が主たるエネルギーとして利用される前は、木材が構造材料としてあるいは身の回りの物品の材料として重要であったこと、廃木材となったあともエネルギー源として重要な位置にあったこと等を考えると、もう一度本来の自然循環材料であると言う原点に立ち返り、木材のカスケード利用を組み立てなおすことは環境負荷の少ない材料として正しい評価を与えるものであると考えます。

一方にCO2吸収源として森林資源を「環境貢献材料」と主張する考えもありますが、その議論とは別に、上記した「自然循環材料」としてその利用にあたっての環境負荷の評価のあり方は、他の金属や無機材料と異なった考え方も必要であると考えます。


2002/10/23 木材の耐久性 /季節の話題の変遷

Masahiko KARUBE, Ph.D.
Laboratory of Engineered Timber and Joints
Department of Wood Engineering , FFPRI
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