伝統的木構造架構の解明

---伝統的継手仕口・軸組工法に関する研究---

釘やボルトなどの接合金具を用いずに、純粋に木材のみで継ぎ手を構成することは、設計者の間で耐久性能・美観・施工性等の点から好ましいと考えられている。 しかし、このような接合部は一般に高度な加工技術を要し、工期や費用の面で必ずしも他の工法に優るわけではない。 また、その継手仕口の力学的性能の評価や耐力発現機構の解明が十分ではなく、耐震性のある構造物として構造設計をする場合に障害となっている。 伝統的な軸組架構は、日本の風土で培ってきた住文化の根幹を担い、その伝統性を持って慣習による加工・施工が行われてきた。 今、科学的な解明が不十分なままこの工法を形式的に模倣して使っていくことは、かえって伝統継手仕口の本来の良さを無くしてしまうことにもなリかねない。 このような伝統的継手仕口の加工に機械加工を導入し、施工性や加工性に優れ、そして大断面集成材の継手としても適用でき得る、構造設計の可能な伝統的軸組工法の再興を目指して本研究に取り組んでいる。

伝統的継手の集成材接合部引張試験

伝統的継手の集成材接合部純曲げ破壊実験

伝統的軸組構造による木造建築物

伝統的軸組構造による木造建築物