軸組工法住宅、通称在来工法では、耐震性向上の方法の一つとして、柱や梁の垂直・水平部材以外に、筋かいと呼ばれる斜めの部材を取り付けている。この筋かいによって、ひし形に変形しやすい四角形に対角線を加え、形の崩れにくい三角形を作っている。筋かい金物は、この三角形の辺をつなぐ接合部の強さを増すためのもので、鉄板を加工して作られている。
筋かい金物によって、どのくらい耐震性が向上されるのかを測るために、写真のような実験を行います。実際の建物の一部分を取り出したような試験体に、筋かい金物を取り付け、梁部分、つまり2階の床の高さで水平に押してやり、実際にどれくらいの力に耐えられるのかを測定します。
筋かい金物の施工状況は普及するに連れ、マスコミ等で関心が高まるに連れ徐々に良くなり、現在ではほとんどの現場で適切に施工されている場合が多い。しかし中には、現場の納め上、大工さんの器用さ、技術力の高さから構造耐力上望ましくない形で納まっている場合も見受けられる。
筋かい金物の部分の他に、ごくたまにですが土台接合部や主構造部材の柱が、床下換気口の真上に在ったり、
土台接合部とアンカーボルトが接近、あるいは干渉して、接合部としての強度には期待できないのではと思わせる場合が在ります。ほとんどの建物は一部分に問題が在ってもそれを補って余る耐震性を持っていますが、出来ればこのようなことがない様に大工さんと基礎工事業者の方の注意を喚起したいと思います。