季節の話題 This content is Japanese page only. 1998/03/29 作成。

静的試験と動的試験


静的実験/Static Test

静的試験は一般的に行われている試験のほとんどがこれと言って良いくらい標準的な物で、一定荷重あるいは一定変形毎に加力を止め各部のひずみや変形の度合いを測定するものです。都合上、加力速度は一定と言うわけにも行かないのですがとてもゆっくり壊していく試験を指します。特に試験機・試験体の重量による慣性力が試験に影響しない様に注意する必要があります。

動的実験/Dynamic Test

動的試験は、静的試験と違って実際に構造物等の試験対象が受けると想定する荷重をそのまま再現するもので、試験機や測定器の能力は短時間の現象を十分に再現し記録する必要があるため、静的試験に比べて高価なものになります。しかし、実際に受けるであろう現象を再現することとなるため、安全と安心を得るためには理想的ともいえます。その一方で入力する地震波や載荷パターンと実際にやってくるであろう地震波との波形の違いがしばしば問題になります。振動台実験も動的実験の一つになります。

仮動的応答実験/Pseudo Dynamic Test

仮動的応答実験は、別名オンライン実験、リアルタイム実験等とも呼ばれ、静的実験の加力測定装置を用いて実験するものですが、その加力は想定する外力等の時刻歴をもとに構造物を変形させて、構造物の反応の具合と次の時刻での外力から、次にどのぐらい変形させるかを計算で決める試験方法を指します。簡単に言えば何秒間という短い実時間を何分、あるいは何時間という大きさにまで引き延ばして、ゆっくり行う動的試験です。コンピューター等を利用することによって動的実験に似た実験を静的試験装置を使って安価に行えるので画期的実験ともいえますが、速度に依存する減衰要素の評価についてどのように扱うかと言う問題がついて回ります。つまり、物体の運動を表現する加速度・速度・変位のうち速度のみが実際の状況と異なることになります。


Masahiko KARUBE, Ph.D.
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