木質廃材堆肥に関する研究 第1報
河田 弘
この研究の主目的は,野外における堆積貯蔵期間の異なるヘムロックバーク,副原料の鶏糞,主な市販品を含めた各種のヘムロックバーク堆肥の性質および組成を明らかにして,ヘムロックバーク堆肥についての全般的な知見を把握するとともに,堆肥化過程における熟成度の指標を求めることにあった。
化学的質および組成については,C,N,水溶性C,全K2O,Na2O,CaOおよびMgO,水溶性P2O5,2.5%酢酸可溶P2O5,全P2O5,水溶性Cl,pH,CEC,ECを,Nの形態については,NH4-NおよびNO3-N,有機態Nの組成として加水分解性N,アンモニア−アミド態N,アミノ糖態N,アミノ酸態Nおよび未同定Nを,腐植の形態については,腐植酸およびフルボ酸の腐植の組成,腐植酸の吸収スペクトル,その他の光学的性質を明らかにした。
以上の結果,次の諸点が明らかにされた。
1)現在市販のバーク堆肥の一般的な製法である鶏糞および無機態N添加によるヘムロックバーク堆肥の各肥料成分濃度は,慣行のワラ堆肥よりかなり高いが,これらは大部分が副原料に由来するものである。
2)Nの形態については,原料バークの野外堆積中における分解および鶏糞添加堆肥の堆肥化過程の進行にともなって,加水分解性Nおよびアミノ酸態Nの全Nに対する比率の減少が明りょうに認められた。鶏糞添加バーク堆肥製品の無機態Nは大部分がNO3-Nで占められ,NO3化成力が著しく強いことが認められた。
3)腐植の形態については,バーク堆肥製品の腐植の組成および腐植酸の光学的性質は,原料バークの性質を強く反映し,堆肥化過程における変化は少なかった。また,腐植酸の光学的性質はいずれも土壌の腐植酸とはかなり異質な特異性が見られた。
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