木質廃材堆肥に関する研究(第2報)

広葉樹オガクズ−豚糞堆肥

河田 弘

要旨

 この研究は広葉樹オガクズ−豚糞(11)堆肥の原料および製造過程の各段階における製品の化学的性質および組成,Nおよび腐植の形態などについて検討するとともに,前報のヘムロックバーク−鶏糞堆肥との比較によって,木質廃材および副原料の家畜糞尿の相違が製品(堆肥)におよぼす影響を検討したものである。得られた結果の主なものは次のとおりである。
1)堆肥化終了時の成分濃度は,N 3.5%P2O5 6.9%K2O 4.6%CaO 3.1%MgO 2.3%であった。
2)第1報の鶏糞(11)添加のヘムロックバーク堆肥と比べると,NP2O5K2OMgO濃度および水溶性および2.5%酢酸可溶P2O5の全P2O5に対する比率が高く,CaO濃度が低い点に著しい相違が見られた。
3Nの形態については,NO3-化成作用よりもむしろNH4-化成のほうが強く,有機態Nの組成では堆肥化過程において加水分解性Nの全Nに対する比率がほとんど変化しないこと,アミノ酸態Nの比率の減少が緩やかであることなどに,鶏糞添加堆肥の場合と著しい相違が見られた。
4)腐植の形態については,抽出腐植および腐植酸の比率が著しく大きく,腐植酸はRP型に属し, logK1が大きく,Rfは小さくて,きわめて未熟な段階にあることが認められた。これらの相違は,副原料の鶏糞と豚糞の相違の影響と考えるよりも,むしろ主原料の木質廃材の相違に負う点が大きいと思われた。

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