林業試験場プロジェクト研究

「カラマツ落葉病抵抗性の遺伝様式の解明に関する研究」経過の概要

 カラマツ落葉病は,先枯病とともに,カラマツ造林地に著しい被害を与えているため,落葉病に抵抗性をもつ個体を選抜し,抵抗性実用種苗をつくり出すことが強く要望されてきた。
すでに昭和14年以来,樹病研究者の手によって多数の落葉病抵抗性個体が選抜され,耐病性の検定が行われていた。近年,これらの選抜,検定された抵抗性個体のツギキクローンが結実年齢に達し,交雑により次代を生産し得る状況になっている。また,昭和43年より落葉病抵抗性について早期検定法の研究が始められ,検定法の開発が進められていた。このような既往の研究によって得られた材料,成果をもとにして,落葉病抵抗性の遺伝様式を解明するために共同研究を実施した。
 本研究では,すでに選抜,検定された抵抗性クローンを用いて,落葉病抵抗性がいかなる遺伝様式をとるかを明らかにするとともに,落葉病に強度の抵抗性をもつ実用種苗を生産するための,また精英樹系統の種苗に抵抗性遺伝子をとり入れるための基礎資料を得ることを目的とした。この研究には下記の諸研究室が参画し,昭和45年度より51年度までの7年間(T期5年,U期2年),7研究項目(使用クローンの選定,着花促進と花性転換,交雑,播種と養苗,接種検定,検定結果の遺伝解析,試験地の設定)を長野,東北,北海道の3地域ごとにそれぞれ分担して実施した。

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