カラマツの着花促進

三上 進・浅川澄彦・飯塚三男・横山敏孝・長尾精文・竹花修次・金子富吉

要旨

 カラマツの雌花をふやすことを目的として,環状剥皮を中心とした機械的処理の再検討を行うとともに,数種類の生長調節物質を用いて花性制御を試みた。環状剥皮は半周2段よりも半周4段で雌花数が増加するといえそうである。全周剥皮では2段剥皮と効果が同じか場合によっては低下した。環状剥皮個体の平均雌花率307-3_fig1.gif (1070 バイト)1.1%1.4%であった。4段剥皮では雌花数は増加したが,同時に雄花数も増加したので雌花率はむしろ低下した。雌花数の増加に摘心摘葉の効果は認められなかったが,短枝の輪生葉を6月に摘みとると花芽の分化が著しく抑制されるという知見が得られた。強い根切りは環状剥皮と同じ効果を示したが,移植の効果ははっきりしなかった。生長調節物質としてNAACCCBCBB995EthrelBOH6種類を施用したが,花性制御に直接役立ちそうな結果は得られなかった。ただし,NAA処理によって,雌雄同体花が認められたことや異常雄花の出現率が高まったこと等から,将来に検討の余地が残された。

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