東北地方におけるカラマツ落葉病抵抗性交配苗の検定

横沢良憲・佐藤邦彦・佐保春芳・庄司次男・柴田忠松

要旨

 “カラマツ落葉病抵抗性の遺伝様式に関する研究”の一環として東北支場では長野県浅間検定林および岩手県網張検定林において選抜されたクローン間の交配家系を用い,病落葉を感染源とする病葉接種により,各家系間の低抗性発現状況を調査した。菌糸接種によらず病葉接種としたのは各種の予備接種実験において,盛岡の気象条件下では後者のほうがより確実に発病する結果が得られたためである。判定は主として針葉に占める病斑(変色)面積の割合により行った。
 浅間検定林選抜クローン間の交配家系では,一般的に抵抗性×抵抗性の家系は発病程度が軽く,感受性×感受性の家系は発病度が高い傾向がみられ,とくにTR1011×1019および1040×1011の家系は感受性が高い傾向を示した。
 網張検定林選抜クローン間の家系においても若干の例外を除くと上記とほぼ同様の傾向を示した。
 全体としてみると,抵抗性あるいは感受性クローンが片親の場合,F1家系はそれぞれ抵抗性あるいは感受性の側にかたむく傾向が現われ,今後の低抗性育種に希望をもてる結果が得られたものと考える。

全文情報(3,222KB)