日本産主要樹種の性質
星 通
日本産主要樹種の性質に関する研究の一環として,回転飽における 被削性の試験を行い,その結果を採取地域ごとに報告2)〜7)してきたが,本報はそれらの結果について とりまとめたものである。これらの結果から次のことが明らかとなった。
切削抵抗Pと送り速度fとの関係はP=a+αfβ の実験式で表わされ,ほとんどの樹種ではβ=1であるが,カツラ,ホオノキ,モチノキ,タブノキ,イヌブナ, アサダおよびイスノキの7樹種の縦切削の場合は,β≠1である。前記の実験式の定数αと試験時の比重 rの間には次の関係がみられた。縦切削において,α=-0.84+8.78r,横切削において,α=0. 04+3.36r,木口切削において,α=-6.96+48.19r。実用的な1刃あたりの最大送り量0.3cmにお ける切削抵抗P0.3と試験時比重rの間に次の関係がみられた。縦切削において,P0.3=0.33+3.66r,横切削において,P0.3=0.37+2.20r,木口 切削において,P0.3=-4.4+23.42rc
適正切削条件における仕上げ面の無欠点率をみると,供試針葉樹6樹種のうち,ヒノキ,スギおよびアカ マツは無欠点率90%以上を示し仕上げやすいグループとみることができ,カラマツおよびグイマツは70%以 下で仕上げ難いグループ,アカマツおよびエゾマツはその中間のグループと考えられる。また供試広葉樹 6樹種では,ミズナラ(青森産)以外は無欠点率90%以上で,仕上げやすいグループであり,適正切削角は 針葉樹に比べ広い範囲を示した。
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