建築用木材の部材化に関する研究 第4報

木質壁パネルの熱貫流率

斎藤寿義

   要旨

 多様化している木質系壁用ボードおよびそれらによる壁パネルの熱貫流特性を 把握し,木質系家屋の断熱設計の基礎資料として役立てるため,実用寸法に準ずる大きさ(90×60cm)の試験用パ ネルを用いて熱貫流率の測定,考察を行った。実験装置は,ASTM規格に準じて小型化した保護加熱箱方式のもの で,低温側空気温度を5〜15℃の範囲で制御し,風速を3.0m/secとした。高温側空気温度は成り行きとし,風速は1.2 〜1.5m/secである。ボード類の表面熱伝達抵抗は表裏両面の和で0.12〜0.17m2h℃/Kcalの範囲内におさまり,合 成樹脂で成形加工された滑面を有するボードがおおむね大きい値を示した。密閉型中空パネルの中空層における 等価熱伝導係数は,表面が極端に粗い木毛セメント板を用いたパネルで,他のパネルよりやや大きい値を示し,わ ずかではあるが層内空気対流の影響による変化があるものと思われた。放射伝熱の影響については,アルミ箔を用 いたパネルが極端に小さい値を示したほかは,顕著な相違はなかった。中空層に木製棧木を入れたパネルでは,空 気と棧木の並列合成熱伝導抵抗値と実験値は比較的よく一致し,棧木にC型軽量型鋼を用いた場合では,計算によ る予測が無理であった。中空層の一部に断熱材を充Pしたパネルでは,空気層の等価熱伝導係数が断熱材の位置 によってかなり変化することがみとめられた。薄い合板の3・4重壁,薄い板の上に角材を等間隔で接着接合したパネ ル等の実験的パネルの熱貫流率,およびパネルの継目等に生ずる隙間の影響についても検討した。

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