木質廃材堆肥に関する研究(第3報)

広葉樹バーグ堆肥について

河田 弘,白井香二,赤間亮夫,佐藤久男

   要旨

 この研究は第1報のヘムロックバーク鶏糞堆肥に引続いて,市販の 広葉樹バーク鶏糞堆肥の品質の実態の把握と,主原料の新鮮ないし野外堆積バークの性質および組成, さらに,各工場ごとの副原料の配合比や製造工程などの相違が製品堆肥の性質および組成におよぼす影 響を明らかにすること,バーク堆肥の規格ないし製造規準の設定のために必要な基礎的な資料を得るこ とを主目的として行った。
 第1報と同様に化学的性質および組成はC,N,水溶性C,無機態N,P2O5, 水溶性および2.5%酢酸可溶P2O5,K2O, Na2O,CaO,MgO,Clの含有率,pH,CECおよびECを,有機態Nの形態は加水分解性N, アマイド-N,アミノ糖-N,アミノ酸-N,未同定-Nの各fractionの組成を,腐植の形態は腐植酸およびフル ボ酸の抽出率,腐植酸の光学的性質および吸収スペクトルなどを検討し,第1報のヘムロックバーク堆肥 と比較検討した。
 得られた結果の大要は次のとおりである。
1)広葉樹バークの化学的性質および組成,腐植の形態などは,新鮮バークの段階でヘムロックバークと 著しい相違が見られた。
2)このような相違は野外堆積バーク,さらに製品堆肥の段階まで影響し,製品堆肥についてもかなりの 相違が見られた。
3)新鮮および野外堆積バーク,製品堆肥に至るNの形態の変化はほぼ同様の傾向を示していたが,その進 行の程度はヘムロックバーク堆肥の場合より遅いといえる。

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