(研究資料)

カラマツ・ヒノキ混交林におけるリ夕ーフォール量とその分解

河原輝彦,佐藤 明,竹内郁雄,只木良也,峰屋欣二

   要旨

 カラマツ・ヒノキ混交林における物質循環の実態を知るため, 1972年より5か年間にわたり,東京都水源林においていくつかの調査を行った。調査林分はカラマ ツ55年生,ヒノキ50年生で,それぞれの最多葉層が約20mと約12mである2段林型を示していた。
 5年間を平均したha当りの年間リターフォール量は,P1およびP2〜6の2林分でそれぞれ,3.6ton, 3.8tonとなった。このうち落葉量はプロットによりカラマツ,ヒノキの割合はちがったがともに2.7 tonであった。これらのリターフォール量はカラマツ,ヒノキの純林における値と大きいちがいはな かった。
 土壌呼吸量は気温の高い夏にもっとも高く,気温20℃で1日あたり約10gCO2/m2・日に達した。気 温と呼吸量の関係は季節によって変化した。リターバッグ法による落葉の重量減少をみると,2年間 ではヒノキ,カラマツおよびその混合ともに50%に減少するが,その後減少速度は落ちて5年目でそれ ぞれ65%,72%,77%に減少し,両者の落葉を混合した場合に減少率が高まる傾向がみられた。土壌表 層でのリターフォールなどの雨水による移動をみると,落葉は全移動量の49%を占め,ついで土が25 %であった。

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