木質パネル構造に関する研究(第2報)

間伐材利用実大建物の加力試験

平嶋義彦,神谷文夫,畑山男,金谷紀行

   要旨

 建物に加わる地震,風などの水平力が,建物の各部をどのように 流れて基礎に達するかを想定することは,構造設計における基本的な事項であるが,実際の建物につい てそれを実験的に検討した資料は極めて少ない。
 本報告では,第1報と同様に,スギ間伐小径材(7×7p,7×3.5p)を用いた枠組に構造用合板を釘 打ちした壁パネルでモデル建物を構成し,静的加力試験および起振器による強制振動試験を行い,すで に前報で報告した建物の構成要素である各壁列単体のラッキング試験の結果と,実大建物の加力試験の 結果を対照検討した。
 その結果,帯金物が建物の剛性に与える影響は高々10%程度であること,建物の耐力上昇のためには 屋根と壁との接合を強固にする必要があること,加カ方向と直交している直交壁は建物の剛性には影響 を与えないが,耐力には効果を及ぼしていること,屋根ダイアフラムがその下にある耐力壁に加わる力 に与える影響は,その水平剛性に左右され,ダイアフラムの剛性が2s/o2 以下では大きいことがわかった。
 また,壁単体のラッキング試験の結果から,建物の水平剛性やNれを精確に推定することができた。
 振動試験の結果から,この建物の固有周期および減衰定数が得られ,かなり高い剛性を有することが わかった。

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