日本産主要樹種の性質

日本産主要35樹種の強度的性質

中井 孝,山井良三郎

   要旨

 日本産主要樹種の利用上の基礎資料を得るため,針葉樹11種と 広葉樹24種(環孔材9種,散乱材12種,放射孔材3種)の計35樹種について,気乾状態での無欠点小 試験体による強度試験を行った。これらの結果をとりまとめ供試木の数,各種強度値の平均値,標 準偏差,変動係数を表に示した。行った試験の種類は静的曲げ試験,縦圧縮試験,縦引張試験,せ ん断試験,かたさ試験,衝撃曲げ試験,部分圧縮試験で,その試験方法は日本工業規格にほぼ準拠 している。試験時の気乾比重と,縦圧縮強さ,縦引張強さ,曲げ強さ,曲げヤング係数,木口かた さ,衝挙曲げ吸収エネルギー,柾目面せん断強さなどの関係を図に示し,直線式および指数曲線式 を求めた。いずれの式においても気乾比重と各種強度値との間には,強い相関関係が認められた。 また,各種強度値間の関係について検討を加え,柾目面せん断強さと板目面せん断強さ,柾目面か たさと板目面かたさ,縦圧縮強さと木口面かたさ,せん断強さと縦圧縮強さなどの関係を求めた。 縦圧縮強さに対する曲げ強さの比は,針葉樹で1.8〜2.3,広葉樹で1.6〜2.3の範囲を示し,それら の平均値が約2.0,縦圧縮強さに対する縦引張強さの比も針葉樹で2.3〜3.7,広葉樹で2.4〜3.9の範 囲を示し,それらの平均値が約3.0であり,無欠点小試験体の曲げ破壊が引張破損によって生じると 仮定した理論式から求めた数値と,実験の結果はよく合致していた。

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