(研究資料)

アオダモ着色心材の漂白

加藤昭四郎,基太村洋子,黒須博司

   要旨

 褐色のアオダモ(コバノトネリコ,Fraxinus lanuginosa)着色 心材を市販の過酸化水素系(H2O2系)3種と亜塩素酸系(NaCl2系)2種の木材漂白剤を用いておもに浸漬法で漂白し,バット材としての有効利用を図 るとともに,Lab表色系により着色心材の変色挙動を解明し,漂白剤の特性を検討した。H2 O2系・NaClO2系漂白剤はいずれも着色心材を容易に漂白し,バ ット材としての表面化粧性を改善する。H2O2系処理により,着色 物質は30分間で分解し,Lが著しく増加し,a とb減少する。それにより色柄角が増加し彩度量が減少するので,処理材 は黄色味が薄れて白っぽい色調となる。NaClO2系処理により,着色物質は16〜32時間で 分解し,Lが著しく増加し,aは減少 するがbは増加する。それにより色相角が増加し彩度量も増加するので, 処理材はH2O2系と比べて黄色味の強い色調となる。NaClO2 系密封法では着色物質の分解は不十分であるが,軽い漂白をして材色を鮮かにする場合に適している。 無着色心材の材色はもともとaが小さく色相角が大きいので,漂白による これらの変動は小さいが,他の変色挙動は着色心材と同様である。

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