横田俊一
五葉マツ類発疹さび病菌のさび胞子は10〜25℃の範囲で発芽 し,15〜20℃が適温と考えられる。発芽を開始するのに必要な時間は15℃で4時間であった。冬胞 子寄主を有する系統と,マツ直接感染型あるいは冬胞子寄主不明の系統とでは,さび胞子の発芽管 の形態が著しく異なることが明らかとなった。さび胞子を散光の当たる室内に置くと,乾燥の有無 にかかわらず,2か月後には発芽能力が失われた。しかし冷暗所では5か月余にわたって発芽能力が 保持された。
5日間にわたって経時的に小生子の落下と発芽に及ぼす温度の影響を試験した。その結果,5℃区 では常に小生子が大量に落下し,小生子の落下とそれにひきつづく小生子の形成が盛んに行われて いることをしめした。10℃,15℃区では小生子の形成は次第に低下し,20℃区では試験開始時に形 成されていた小生子が落下したあとは形成されないことをしめした。いっぽう0℃区は88時間以降に 大量の落下が観察された。落下した小生子は0〜20℃の範囲ではよく発芽をするが,発芽管の長さか ら判断すると10〜15℃が適温と考えられる。20℃区では発芽管は太く短く,感染には不都合と考え られた。0℃で発芽すると細い発芽管を伸長させる直接発芽型が,5〜15℃では直接発芽をするもの と,いったん二次(三次)小生子を形成した後に発芽して細い発芽管を伸長させる間接発芽型の両 タイプが観察された。
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