吉屋信子
γ線照射処理を受けたホロセルロースのセルラーゼによる酵素分解性を 明らかにするため,γ線を照射したブナ・ホロセルロースの結晶化度,重合度,平衡含水率および表面積を測 定し,これらの特性と酵素加水分解による還元糖収率との関係を検討した。
結晶化度は10Mradの照射によりやや増加するが,50Mrad以上の照射では低下した。重合度は照射線量の 増加により低下するが,平衡含水率ならびに表面積は増大する傾向がみられた。
10Mradの照射では還元糖収率は減少するが,50Mrad以上の照射では加水分解速度と還元糖収率はともに 増加し,また結晶領域も急激に加水分解され,24時間でほぼ完全に加水分解されることが明らかになった。し かし200Mrad照射したホロセルロースの還元糖収率は6時間の加水分解で約80%に達するが,分解時間を延 長してもそれ以上の値は得られなかった。結晶化度の低下にともなって,還元糖収率はほぼ直線的に増大す ることが明らかになった。50Mrad以上の照射線量において,還元糖収率は重合度の低下とともに増大すること がわかった。
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