浅川実験林苗畑の杭試験 第7報

日本産,および南洋産材の野外に設置した杭の腐朽経過と耐用年数

松岡昭四郎,井上 衛,庄司要作,鈴木憲太郎,山本幸一

   要旨

 主要な日本産樹種について,野外の土壌に垂直にたてた杭の生物劣化による 耐用年数についてすでに報告したが,その後さらに追加した樹種,ならびに南洋産財約80樹種について,同様の調 査を行ってきた。その結果,南洋産樹種のなかには,アルトカルプス,エボジア,プランチョネラ,アンベロイなど半年, あるいは1年ですでに使用に耐えないほど腐朽する樹種から,ギアム,パラウ,レサックなどのように,16年前後とい うように長い寿命を示すものなど,日本産樹種で耐朽性の大きいヒノキ,ヒバ,ケヤキなどの2倍以上の耐朽性を示 す樹種もあった。したがって杭試験第3報で報告した樹種も含めて,あらためてこれらの耐用年数に基づいて各樹種 の耐朽性を,T(きわめて大,9年以上),U(大,7.0〜8.5年),V(中,5.0〜6.5年),W(小,3.0〜4.5年),X(きわめ て小,2.5年以下)の5段階に区分した。また,南洋材については比重と耐用年数の間に有意な関係がみられ,比重 の高い樹種ほど耐朽性が大きい傾向を示した。
 また,杭を設置した後,区分T,Uでは2〜3年,V〜Xでは直ちにか,1年経過してから腐朽が始る。被害度(0〜5) の進行速度は1年あたり区分Tでは0.2〜0.3,区分U,Vでは0.4〜0.7,区分Wでは0.8〜0.9,区分Xでは1.0〜5.0で ある。すなわち耐朽性の大きいものは腐朽の始るのも,腐朽の進行も遅いが,耐朽性の小さいものはすぐに腐朽が 始り,短い期間で使用に耐えなくなる。

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