木質釘着パネルの非線形曲げ解析 第2報

釘着梁理論の釘着パネルへの適用

神谷文夫

   要旨

 第1報では,釘着パネルの釘接合部の辷りを解析するために,基本問題として 釘着梁をとりあげ,その辷りやたわみを求める理論式を誘導した。本報では,この理論を釘着パネルへ拡張適用 することを検討した。
 釘着パネルの残された問題は,フランジの幅方向応力の不等分布である。この不等分布や,その分布を均一と 仮定した力学的に等価な幅(有効幅)については,釘接合部の辷りが荷重に対して直線的であるとした場合や,辷 りのない接着パネルの場合には,弾性力学に基づく解がすでに得られている。
 まず,この解を基にして多くの角度から検討した結果,釘下着パネルの有効幅は接着パネルの有効幅と等しい とみなしても大過ないとの推論が得られた。そこで,フランジの実幅の代わりにこの有効幅を用い,釘着パネルを 一種の釘着梁として扱う方法で,その非線形の曲げ性状を計算した。
 実験を行って,この計算方法の適合性を検討した結果,この方法は良くその曲げ性状を予測することがわかった。
 また,釘間隔,フランジの厚さ,リブのせいなどのパラメータを変えた数値実験を行った。その結果,フランジを厚 くするより釘間隔をつめた方が剛性の増加は大きいこと,リブのせいが大きいときは,釘間隔をつめるだけでなくフ ランジも厚くする必要があることなどがわかった。

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