加藤昭四郎,黒須博司
走査電子顕微鏡を用いて種々の形態の木材や化学処理木材を観察し,次のような結果を得た。
木材組織については,倍率を変化させることによって,3断面の同時観察・撮影から壁孔のトールス・マルゴやミクロフィブリルに至るまで,広範囲の観察が可能であった。腐朽木材中に侵入・繁殖している菌糸や,木材組織に充填している内容物およびその溶脱についても観察できた。
木材を薬品や樹脂で処理したときのそれらの流動・充填・沈着状況が観察できた。
木材を炭化しても,組織構造はかなり維持されていることがわかり,このことは出土木炭の樹種鑑定に利用された。
木粉を脱リグニン処理すると,リグニン含有率の高い細胞コーナーの消失が顕著であった。
セルロース繊維にメチルメタクリレートをグフフト共重合すると,ポリマーの結合や沈着による繊維の表面構造や形態の変化が観察された。
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