飯塚三男,船山悦郎
キリはてんぐ巣病にかかると,生長が著しく影響され,幼木では枯 死することもあるが,罹病による生長減退の程度については,あまり報告されていない。本報告では,罹 病すると病状の進行か早く,被害か大きくなりやすい若木を使い,比較的発病しやすい断幹や根切り処理 を行い,発病したものと健全なものとの生長比較を行った。材料は3年生のウスバギリ,P.elongata に断幹,1年生のニホンギリ,チョウセンギリ,ラクダギリに根切りと断幹を行って床替えした。幼時の生 長がすばらしいウスバギリでは,罹病によって著しい生長減退か起こり,健全木と比べると樹高は42%, 材積は7%にすぎなかった。P.elongataでは,樹高は67%,材積は20%ほどであった。一方,断幹 と根切りを同時に行ったニホンギリの罹病木は,健全木と比べると樹高は60%,材積は17%,チョウセン ギリでは樹高か52%,材積は10%,ラクダギリでは樹高は20%,材積は1%以下であった。いずれの処理区, 種類でも,罹病木の若葉量,葉面積.直径は健全木より劣っていた。なかでもラグタギリの被害は著しく, 罹病木のほとんどが枯れた。
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