(研究資料)

キリ若齢木の着花促進

飯塚三男

   要旨

 キリの育種期間の短縮をはかるためには,着花樹齢を下げることが必要 である。本報では,生長か早く着花樹齢が比較的高いウスバギリ,ココノエギリについて行った,着 花促進処理の結果を報告する。ウスバギリでは2年生と6年生樹を材料に剥皮,まきしめなどの処理を 行った。2年生樹ではいずれの処理も効果がなかったが,6年生樹では幹の剥皮処理で花序が形成され, その程度は剥皮部のゆ合の悪いものがよかった。ココノエギリでは,4年生の2個体の1年枝に2段,4段 剥皮,およびそれらと当年枝の2段剥皮,捻枝の組み合わせ処理を行った。1年枝剥皮,当年枝剥皮を 組み合わせた場合は,すべての処理枝で花序が形成されたが,捻枝との組み合わせでは,1個体で1年 枝4段剥皮の場合の効果が低かった。1年枝のみの処理では,4段剥皮が2段剥皮より多少効果がすぐれ ていた。以上の結果はいずれも8月上旬処理の場合で,7月上旬処理はいずれも効果がみられなかった。 花序形成枝で蕾を形成した割合は,1年枝の単独処理では4段剥皮がすぐれていたが,当年枝処理と組 み合わせたものでは,1年枝4段剥皮の方がむしろ悪かった。花序当たりの平均着蕾数は,1年枝の単独 処理は比較的良かったか,当年枝と組み合わせたものは,捻枝ではよかったが,剥皮したものは劣っ ていた。

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