(研究資料)

木材に含まれる硫黄量

桜井孝一

   要旨

 残廃材を含めて木質系物質を燃料として使用する際,大気汚染の見地から,昭和48年に 施行された「公害健康被害補償法」に基づき,ばい煙施設設置者は硫黄酸化物の大気放出量に応じ,賦課金を納付することに なっており,木屑では硫黄分を0.04%として計算されている。しかし,木材中に合まれる硫黄に関する資料は極めて少ないの で,今後木材を焼却する場合の検討資料として役立たせるために,主として工場から入手した材料について,硫黄の含有量を 測定した。
 分析に供した木材は南洋産広葉樹14種,北米産針葉樹3種,ソ連産針葉樹4種及び国産の針・広葉樹20種である。分析部位は 南洋材では辺・心材のみで,他は樹皮も行い,国産材の一部は葉についても検討した。
 分析の結果,樹皮では北米材に0.150〜0.302%,ソ連材に0.041〜0.061%,国産材には0.00〜0.099%の硫黄が検出された。ま た辺・心材では北米材の辺材に0.063〜0.124%,心材には0.011〜0.024%の硫黄が認められたが,ソ連材には辺・心材のどちら にも硫黄は認められなかった。また南洋材の辺材に0.00〜0.068%,心材に0.00〜0.051%,国産材では辺材で0.00〜0.035%,心 材に0.00〜0.051%の硫黄が検出された。

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