(研究資料)

緩傾斜造林地における浅層地下水位の季節変化

勝見精一

   要旨

 山地の浅い土層内における地下水を研究するため,林業試験場 北海道支場羊ケ丘実験林内の緩傾斜造林地内に,上下一直線上に6本の浅層地下水観測用の浅井戸を掘 り,地下水位の観測を行った。その結果,次のことが明らかにされた。@融雪期の浅層地下水位は地 表面まで上昇し,地表流を発生させる。A融雪期に上昇した浅層地下水位は5月,6月には降下してい くが,20o前後の降雨で上昇する。B夏季の7月,8月には地下水位は降下を続けて,観測井の底面以 下になるが,8月下旬から9月の大雨で急上昇する。C10月には10o前後の降雨でも,地下水位は上昇 する。D初冬の11月,12月には地下氷位はあまり変化がなく,厳冬期にはほぼ一定の水位となる。次 に, 1,4,6井戸では降雨と地下水位上昇との関係について検討するため,浅井戸の地下水位上昇 深 H′が一降雨量R,降雨直前の土壌水分不足量W,林木等の樹冠遮断量I,地下水の流去量Gによって 変化するものと仮定し,H′=h−(W+I+G)の数式により算出した。hは見かけの上昇深で,水位観 測点におげる有効間隙率をS(%)とすると,h=R/S×100で求められる。上式によって推定した地下 水位上昇深の最大値は, 4井戸では実測値とかなりよく一致したが, 1と 6井戸では,それぞ れ,±20p,±40p程度の誤差がみられた。

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   −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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