小径木用チッパー・キャンタにおける逆目ぼれの抑制

藤原勝敏

   要旨

 単一機械で主製品である角材と副製品であるチップを同時に生産し,加工コストの低減 を図るとともに,小径木を効率的に加工する目的で,わが国で初めて試作されたのが小径木製材用チッパー・キャンタであ り,その実用化が急がれる。このために解決しなげればならない最大の課題は,節周辺に発生する逆目ぼれの抑制など,主 製品の表面品質向上技術の開発である。本研究では,ナイフの改良を重ねながら,スギの切削加工を行い,節周辺に発生す る逆目ぼれの抑制方法について検討した。
 新しく開発したナイフを用い,30m/min以上の実用送材速度で実験した結果,ナイフの形状,裏金の形状,裏金後退量, 削り代などの条件が適正であれば,発生する逆目ぼれの約70%はその深さが0.5mm以下になり,かなり逆目ぼれが抑制され, 高品質の切削面を有する製品が得られるようになった。これによって逆目ぼれの抑制方法は,ほぼ確立できたと考えられる。 また主製品の寸法誤差は0〜0.65mmの範囲にあり,実用上特に問題はなく,さらに加工精度を上げることは十分可能である。 チップの長さは一定にすることができるが,主製品の表面品質を確保する必要上,複数のナイフにおける削り代をそれぞれ 変えざるを得なかったために,チップの厚さを一定にすることはできなかった。なお本機の片側コーンの主軸モーターの容 量は,15kw程度でよいことが明らかになった。

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     −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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