井上 衛,雨宮昭二,松岡昭四郎,鈴木憲太郎,山本幸一
各種薬剤で加圧処理した杭を浅川実験林苗畑の土壌中に昭和33年設置以来,その杭の 被害度を観察してきた。
その結果,加圧処理したもので耐用年数が判明したおもなものは,処理液濃度2.0%についてはボリデンソルトS25の25 年,CZCの20年,フェノール類,無機ふっ化物系木材防腐剤(PF)W−3(1種1号)の19年,同W−2(1種2号)の18年,処理 液濃度1.0%については硫酸銅の18年,トリブチルスズテレタレートの14年で処理液濃度30%のフェノール樹脂は19年等で あった。クレオソート油原液およびクレオソート油を重油あるいはコールタールで希釈したもので処理した杭は28年経過し てもわずかに腐朽がみられるのみであるが,クレオソートを灯油で10,20%に希釈したものは13年,16年であった。また, 22年経過しているCCA系でJISK1554の1号および2号の2.0%液で加圧処理した杭はまだほとんど健全で,耐用年数は未定であ る。
当場第2樹木園のばくろ試験場にあらたに20薬剤で加圧処理し,設置して8年経過したものは各薬剤とも使用されている濃 度よりも低い濃度ではすべて8年以下の耐用年数を示している。
耐用年数は腐朽開始の遅速,および腐朽開始後の普及速度によって左右されているが,処理材の場合は腐朽がじょじょに 進行し,ある時点で急激に進むタイプと最初から同じ速度で進むタイプとがみられる。前者は主として水溶性薬剤に,後者 は主として油性薬剤に多い。
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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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