大川畑修
林道建設には一般的に多額な資金投入を要することから,路網整備に当たっては,適正な 密度の路網を効率的に配置する必要がある。本研究は,路網密度および路網配置に関係する因子について究明を行い,これらを 通じて架線集材を対象とした路網計画法の確立に資することを目的としたものである。本論においては,路網の配置ができうる 限り均一になるように留意しつつ,一定の距離を尺度として,計画対象区域におけるあらかじめ設定した一定率の林地(通常は 大部分の林地)が林道からこの距離の中にはいることを目途として路網の配置を行うことにし,この尺度となる距離を配置基準 距離,林道からの距離が配置基準距離内にある林地の計画対象区域に対する面積率を基準距離内面積率と呼ぶことにした。また, この二つの要素と路網の量的尺度である林道密度を合わせて路網計画上の3要素と呼ぶことにした。本研究では,これらの要素に 関し,その算定法および諸性質を明らかにした。林道密度については,経済性を基礎とした合理的林道密度の算定式として,林 道の償却期問または償却対象に応じて,三つの式を導いた。配置基準距離に関しては,幾つかの観点に立って各々の算定法を示 した。また,計画された路網に対し,林内各点から林道までの到達距離の分布状況,集材可否の判定が平面図上に打ち出される プログラムの開発を行い,最後にこれを用いた路網計画の適用例を示した。
全文情報(3,582KB)
−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
森林総合研究所ホームページへ