末吉修三,斎藤寿義,星 通
高層集合住宅など住宅の集積度が高くなるほど,遮音性の高い床,壁,天井が求められる。とくに,コンクリートスラブに 直張りされた木質床板は,他の床材に比べ床衝撃音が発生しやすく,その遮音性を高めることが求められている。このため,軽量衝撃によって発生する床衝撃音 の低減を図ることを主目的に,ブナ挽板と緩衝材からなる四層構造の本質床板を作製し,タッピングマシンによって測定した床衝撃音レベルと軽量ハンマーの自 由落下から求めた最大衝撃力Fmaxあるいは衝撃周波数了“との関係,およびこれらの物理量と床板の積層構成との関係を検討した。 これらから,次のことが明らかになった:1)第一層の挽板を薄くすると,Fmaxとfnは低い値を示し, 床衝撃音レベルも低下した。しかし,第一層を薄くする限度は実用的見地からは約2mmであった。2)第一層の挽板の厚さを1.5〜2mm,第二層の緩衝材の厚さを2.5 〜3mmで組み合わせると,それぞれ最低レベルのFmaxとfn,および直下室の床衝撃音が得られた。3) Fmaxで約300N(fnで約130Hz)以下で床衝撃音レベルの低下が著しくなるのは,本質床板表層部の衝撃 振動エネルギーの吸収特性が変化するためと考えられた。
木質床板表層部の緩衝性を生かして軽量床衝撃音を効率的に低減するためには,表層部の衝撃振動エネルギー吸収特性をさらに検討する必要がある。
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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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