(研究資料)

クルイン(Dipterocarpus crinitus)材のパルプ化および製紙特性に及ぼす樹齢の影響(英文)

島田謹爾, Mohd.NOR bin Mohd. Yusoff, KHOO Kean Choon, LEE Tack Wan

   要旨

 熱帯材の樹齢がパルプ化および製紙特性に 及ぼす影響を明らかにする目的で,同じ環境下で成長した,10,30および50年生 のクルイン材(Dipterocarpus crinitus)を供試料とし,化学成分,繊 維形態,パルプの性質等を比較検討し,以下の結果を得た。
1.化学成分組成は樹齢の増加に伴って,ホロセルロース,熱水抽出物,1%NaOH 抽出物が減少し,リグニン,ペントザン,アルベン抽出物が増加した。
2.繊維形態は樹齢とともに繊維幅(D),膜厚(W),2W/l(Runkel ratio)が 増加し,ルーメン幅(1),1/wX100(Coefficient Suppleness)が減少した。
3.いずれもクラフト法で十分にパルプ化されるが,蒸解薬液消費量は樹齢ととも に増加した。
4.パルプの強度的性質では,裂断長,破裂および耐折強さは樹齢とともに低下し た。
5.パルプシートの色戻り(PC NO.)および樹脂斑点の量は樹齢とともにわずかに 増加するが,後者は比較に用いたクルイン材(D.baudii)より非常に少な く,樹脂障害の影響は少なかった。
6.樹齢により,成分組成,繊維形態が大きく異なるため,結果として製紙特性に 及ぼす影響が大きいことが認められた。

全文情報(403KB)

−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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