福原楢勝
ヒノキとサワラの優良な特性を合せもつ雑種を育成することを目的として,種間交雑の稔性,種間雑種の識別と 生長について調べた。ヒノキを雌親とした交雑で得られた苗木は,外部形態でみると,ヒノキと同じヒノキ型とサワラに近い中間型に分けられた。 ヒノキ型は,酸性フォスファターゼ・アイソザイム分析ではヒノキと判定され,単為生殖によって生じた可能性がある。中間型の雑種は,アイソザ イム分析で明らかに雑種であった。初生葉の展開段数はサワラに近く,成葉の側葉の長さと側葉の面積に対する気孔の分布比率が,両樹種の中間の 性質を示した。サワラを雌親とした交雑で得られた苗木は,すべてサワラ型であり,パーオキシターゼ・アイソザイム分析で雑種と判定された。ヒ ノキ×サワラで得た中間型の雑種について,生長や種子の稔性等について調査したところ,生長はヒノキより劣り,球果は小さく,種子の稔性も低 かった。
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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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