山岳林におけるヘリコプターによるカモシカ等のセンサス(英文)

阿部 學,北原英治

   摘要

 新たに開発したへリコプターセンサス法を用いて,群馬県の国有林2 297haにおいて カモシカ等のセンサスを行った。1982〜1984年の各々3月に実施したセンサスで,105個体,134個体,119個体のカモシカ を数え,三者間に有意差はなかった。また,同調査地内の1 314haで二日間にわたって行った再現性のテストでも,各々 48個体,43個体を数え,互いに有意差はなく,当調査法の再現性の高いことが判明した。区画法との比較を行った結果, 316haの中で地上では2.37〜2.96個体/q2を,空からは5.7個体/q2 を数え,空からの調査は地上調査の約2倍となった。三か年間の調査でカモシカをはじめノウサギ,ツキノワグマ,イヌ ワシ,ヤマドリなど13種の鳥獣が識別できた。ノウサギとヤマドリはカモシカと並行してセンサスを行い,各々74個体, 54個体を数えた。この結果,当調査法はカモシカのみならず他の鳥獣への適用の可能性を示唆した。ヘリコプターセンサ スの利点は,1)地形,植生,積雪などの地上条件に左右されない,2)動物に動きを与えるので発見が容易である, 3)地上調査に比べて広範囲の調査が可能で,小面積調査に由来する誤差が小さい,4)再現性が高い,5)非積雪地帯 でも適用可能で汎用性が高い,6)同時に複数の鳥獣のセンサスが可能,などである。

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−森林総合研究所研究報告−
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