(研究資料)

多積層木質系複合材料の製造とその電磁波シールド特性及び二三の性質

加藤昭四郎,黒須博司,村山敏博

   要旨

 合板,金属,ポリマーセメントモルタル(PCM)からなる多積層木質系複合材料を製造し, その電磁波シールド特性及び二三の性質について検討した。
 合板に鉄箔(50μ),銅箔(10〜50μ)あるいはアルミ箔(20μ)を積層し,その上にPCM を塗布した3層系複合材料は,30〜500MHzの領域における電界及び磁界の電磁波シールド効果 が30dB以上あり,米国連邦通信委員会(FCC)の規制基準を完全にクリアした。そして,鉄箔 系のシールド効果は30〜60dB,銅箔及びアルミ箔系では50〜80dBとさらに向上し,銅箔の厚さ による差はなかった。一方,銅粉末を塗布あるいは接着剤に混入した複合材料には,電磁波シ ールド効果がほとんどなかった。
 合板/鉄箔/PCMの3層系複合材料の曲げ性能を合板と比較すると,曲げ強さは鉄箔の影響に より30〜40%増加したが,曲げヤング係数はPCMの影響により5〜30%低下した。そして,熱伝 導率は合板より20〜30%上昇し,表面の吸水量は合板の約1/3に減少し,ガスバーナーによる 燃焼試験では発炎の抑制効果があった。

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−森林総合研究所研究報告−
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