豊川勝生
本研究は集材機運転作業を人間側より評価し,現在の集材 機作業の問題点を抽出して,改善方向を見い出す研究である。本報告ではまず,集材機運転操作 に関する調査で運転手が高い関心度を示した項目(豊川,1990)の検討を行った。視野の解析か らは,前方視野は右側視界がよく,視野妨害物は前柱,集材機左側ドラム,注視野内でコンソー ルパネル,後方視野では背あてであることが,また,眼点位置変化による視野の変化は少ないこ とが判明した。振動の解析からは,座席振動が全身振動の評価基準値以下であること,振動成分 がエンジン,トランスミッション,ドラム回転に起因するものに分離できること,座席への振動 の伝播は特に前後方向の振動で大きいことが判明した。騒音の解析からは,ドアを開けた状態で の「空搬器走行」,「横取り」作業工程で問題があること,聴力障害危険率は31%となること, エンジン付近と排気管付近の騒音はレベルが高く,人体に影響を与える周波数成分を多く含んで いることなどが分かった。操作器具と座席の検討では,林業機械運転手の体格調査結果と人間特 性から,座席寸法関係の推奨値,ペダル位置,レバー位置の推奨範囲を得た。次に,この推奨操 作器具位置と現用集材機の操作手順より求めた操作器具類の操作推移確率を検討することにより, 操作器具類の最適配置法を作成した。最後に室内環境,計器.運転室,乗り降りの評価基準を検 討し,得られた各項目の基準で集材機運転作業環境の総合評価表を作成した。
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−森林総合研究所研究報告−
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