植生変化が山地流域の流出特性に及ぼす影響(英文)

志水俊夫,菊谷昭雄,坪山良夫

   摘要

 植生の変化が山地流域の流出特性に及ぼす影響を明らかにする ため,ブナなどの広葉樹林→皆伐→スギ・カラマツの針葉樹林と林種転換が行われ,しかも長期間に わたり正確に水文・気象観測が実施されている森林総合研究所宝川試験地の初沢流域を対象にして, 流出の経時的変化について解析を行った。その結果,林況変化による流出変化は,流域への入力とし ての降水量が雪であるか,あるいは雨であるかにより,森林植生が流出特性に関係する機構が異なる ため,無雪期(8〜10月)と積雪・融雪期(3〜5月)とで大きな差が認められた。無雪期では期間流出 量,洪水到達時間,減水特性が,積雪・融雪期では融雪流出の開始時期,融雪流出期間,出水の遅れ 時間がそれぞれ変化することが明らかになった。さらに流出特性は森林の伐採により一時的に変動す るが,森林の回復とともにやがてもとの状態にもどる傾向が認められた。

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−森林総合研究所研究報告−
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