山家敏雄
東北地方におけるマツカレハの発生は,1955年頃が最も多く,その後減少したが,1975, 1985年には再び増加した。特に,1985年岩手県で大量の枯損を伴う被害が発生した。そこで,その原因を明らかにし,被害予 測を可能にするための調査を行った。その結果,最近の被害増加の原因の一つとして黄彊病の発生率の低下が考えられた。ま た,被害予測をするために生息密度を推定する最適時期は,ソメイヨシノの開花日の頃であることが分かった。しかし,東北 地方における越冬明け後の幼虫の発育速度のばらつきや,2化地帯の幼虫の発育速度の地理的変異についてはまだ未解明の部分 が残された。これらが解明されれば,さらに高い精度の密度推定が可能となり,被害発生予測法の確立に至ると考えられる。
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−森林総合研究所研究報告−
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