南西諸島における冬季強風の特徴と平均風速のメッシュ化

山野井克己,生沢 均,溝口康子,大谷義一,寺園隆一

   要旨

 南西諸島の冬季季節風の特徴を,高層気象データとアメダスデータを用いて 解析した。典型的な冬型気圧配置の下で大陸から吹き出した寒冷で乾燥した気団は,温暖な海洋上を吹走する間に 顕熱,潜熱の供給を受けて次第に温度や湿度が上昇し変質する。変質を受けて形成される混合層高度は鹿児島・名 瀬で約2 000m,那覇・石垣島で約3 000mとなり,西に行くほど高くなる傾向が見られた。冬季季節風の風向は本州 付近では北西であるが,南西諸島付近では高気圧の縁に沿って次第に北から北東方向に変化する。アメダスデータ と国土数値情報から地形因子解析法を用いて平均風速を予測する重回帰式を求めた結果,1月の平均風速は1%の危 険率で有意であることが示された。求めた回帰式を用いて南西諸島の平均風速のメッシュマップを作成することに より,以下のような冬季季節風の分布の特徴を明らかにすることができた。@全体的に平均風速は大きい。A南西 諸島の南西に位置する地域ほど平均風速が大きい。B平らな島は平均風速が大きい。C標高の高い地点は周囲に比 べて平均風速が大きく,高い山岳に囲まれた地点は平均風速が小さい。

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−森林総合研究所研究報告−
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