(研究資料)

集成材の耐火性能〜水性高分子−イソシアネート系接着剤使用の構造用集成材の曲げ性能〜

上杉三郎,宮武 敦,原田寿郎

   要旨

 水性高分子−イソシアネート系樹脂接着剤(API)は取り扱い方法が簡易で,接着層が透明 であることから木材工業分野で広く使用されている。しかし,従来のAPIは耐熱性や耐久性が低く,構造材料への用途は制限され てきたが,近年これらの性能も改良され,構造用集成材への使用が可能になってきた。そこで,集成材が構造材として使用され るときに問題となる火災安全性についてAPIを用いた集成材の耐火試験を行い,その性能を検討した。また,接着剤メーカーによ りAPIの組成成分が異なることから,幾つかのメーカーのAPIを用いて作製した集成材を試験に供した。結果は以下のとおりであ る。
(1)いずれの接着剤メーカーのAPIで製造した集成材も長期許容応力度に相当する荷重を載荷された条件下で30分間以上の耐火 時間を保持しており,構造用材としての耐火性能を有している。
(2)集成材の耐火時間に生じたバラツキは,API接着剤の接着性能の違いよりも,集成材を構成したラミナの材質によるところ が大きいと考えられる。

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−森林総合研究所研究報告−
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