平成19年12月 6日
森林生物遺伝子データベース(ForestGen)を公開
独立行政法人 森林総合研究所
ForestGEN (http://forestgen.ffpri.affrc.go.jp/ja/index.html) は、独立行政法人森林総合研究所(FFPRI)が運営する、大規模EST公開システムです。 ForestGenでは、スギ、ヒノキなど様々な樹木や、樹病に関わる線虫など、森林を構成する生物から得た多数の遺伝子塩基配列情報を提供しています。塩基配列情報は生物種ごとに整理・統合されており、タンパク質名等のキーワードによる検索や、配列の類似性検索(BLAST)が可能です。グラフィカルで直観的な高性能ビューアを採用しており、データの瞬時参照を実現しています。研究現場で簡便にデータを利用できるよう配慮しているので、遺伝子事典としての活用も可能です。cDNAクローニング支援機能など、多彩な機能も搭載しています。
このデータベースは無償で、誰でも自由に利用できます。今後針葉樹、広葉樹、樹木寄生菌、きのこ等の遺伝子情報が追加される予定で、森林におけるゲノミクス、集団遺伝学、病理学、林木育種、バイオマス利活用などの研究の進展に本データベースが貢献し、森林の有益的機能を最大限に発揮する手法の開発に役立つことが期待されます。
独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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研究推進責任者: | 森林総合研究所 研究コーディネータ 福山研二 |
研究担当者 : |
森林総合研究所 森林微生物研究領域 菊地泰生 |
広報担当者 : | 森林総合研究所 企画部研究情報科長 上杉 三郎 Tel:029-829-8130 Fax:029-873-0844 |
【背景説明】 ヒトゲノムやイネゲノムに代表されるように、多くの生物種で精力的にゲノム情報の収集が行われており、遺伝子配列情報は増加の一途をたどっています。森林総合研究所でも、優良形質を持つ樹木の育成や病気のメカニズムの解明などを目的として、樹木あるいは病原菌等で、ゲノムワイドな遺伝子配列情報の収集・解析を行ってきました。このような解析から得られる情報量は極めて多いため、いかに情報を管理し、利用していくかが重要なポイントとなっています。 【成 果】 これまでに収集した樹木2種(スギ、ヒノキ)、および樹木病原微生物2種(マツノザイセンチュウ、ニセマツノザイセンチュウ)のEST情報を統合し、データベースとして公開しました(ForestGEN:http://forestgen.ffpri.affrc.go.jp/ja/index.html)。公開ページにはグラフィカルで直観的な高性能ビューアを採用し、データの瞬時参照を実現しています。研究現場で簡便にデータを利用できるよう配慮しているので、遺伝子事典としての活用も可能です。また、cDNAクローニング支援機能など、多彩な機能も搭載しています。 このデータベースは無償で、誰でも自由に利用できます。 【成果の活用方法】 スギ・ヒノキの塩基配列情報は針葉樹の基礎生物学的知見の集積に役立つだけでなく、花粉を出さない等の性質を持つ優良個体選抜の際のDNAマーカーとしての利用が可能です。また、松枯れの病因であるマツノザイセンチュウの塩基配列情報は、本病の発病機構の解明と新たな松枯れ対策の開発への貢献が期待できます。例えば、ニセマツノザイセンチュウ(病原性のない近縁種)との比較によって、病原性を規定する遺伝子や病気に関わる酵素、代謝産物などが特定され、新たな防除法の開発に利用できる可能性があります。 今後さらに針葉樹、広葉樹、樹木寄生菌、きのこ等の遺伝子情報を随時追加していく予定で、森林におけるゲノミクス、集団遺伝学、病理学、林木育種、バイオマス利活用などの研究の進展に本データベースが貢献し、森林の有益的機能を最大限に発揮する手法の開発に役立つことが期待されます。 【本成果の発表論文等】 ForestGEN: http://forestgen.ffpri.affrc.go.jp/ja/index.html |
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図1.データベーストップ画面(http://forestgen.ffpri.affrc.go.jp/ja/index.html)![]() |
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図2. 各種条件検索画面![]() ![]() |
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図3.グラフィカルビューワー 遺伝子及び転写配列の構造を詳細に表示し参照することができる ![]() |
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