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マツタケのレトロエレメント配列を指標とするマツタケの原産国判別法
PRIS法(Polymorphism based on Retroelement Integration Site法)
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マツタケのゲノム進化に深く関与したレトロトランスポゾンの配置特異性を指標にして、アジア産マツタケ(
Tricholoma matsutake
)の産地識別法を可能にするPRIS法を開発しました。本法では、今回試験したマツタケ95菌株(うち、日本産45、韓国産14、北朝鮮産6、中国産29、ブータン産1)で、日本産、韓国-北朝鮮産、中国北東部産、中国南西部-ブータンのマツタケの識別が可能でした。なお、本研究に用いた検体での誤判率は、5%程度でした。
PRIS法によるアジア産マツタケ(
Tricholoma matsutake
)の地理的タイプ
PRIS法によるアジア産マツタケの類縁度
PRIS法の実施例
(
図
)
1
アジア産マツタケ(
Tricholoma matsutake
)の地理的タイプ
地理的タイプは、2組のプライマーでPCR増幅できるDNAバンドの組み合わせで決定できます(下表参照)。
3. PRIS法の実施例から、まず、極東アジア産(Aタイプ)と中国南西部及びブータン産(Bタイプ)で明らかな地理的タイプが存在することが分かりました。
(AタイプとBタイプの違いは、493及び337bpのDNAバンドの有無で決まります。)
次に、AタイプはA1〜A4の4つのタイプを含んでいました。A1及びA2は日本タイプ、A3は朝鮮半島タイプ、A4は中国北東部タイプです。朝鮮半島タイプと中国北東部タイプはDNA指標457bpが存在するこ とで、
日本タイプと区別できます。(日本タイプA2ではDNA指標457bpの有無にかかわらず、DNA指標450及 び299bpの存在が日本タイプの指標となります。)
地図
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2
アジア産マツタケ(
Tricholoma matsutake
)の類縁度
アジアのマツタケは形態的に区別出来ません。また、分子系統学で使われるITS DNA分析でもPRIS法の様な地理的タイプの存在を示唆するような報告はありません。PRIS法で、初めて、地理的タイプを明らかに出来ました。
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PRIS 法の実施例
反応条件等
2. 鋳型DNAの調製と菌株
マツタケの子実体または、培養菌糸体を液体窒素下で乳鉢を用いて粉砕し、粉砕した菌糸末からCTAB法で調製した。鋳型DNAは、濃度を10ng/µlに 調製した。PCR反応液には、最終反応液容量の1/10容量を加えた。
マツタケ95菌株(うち、日本産45、韓国産14、北朝鮮産6、中国産29、ブータン産1)
3. PRIS法の実施結果
プライマーpDGSL313-1(CGATGTATGTGGCTGTGCCAGTACCAT)とpS48 ( GAGGTGGGGAAAAATATGGGACGAAC)のIの系ではアニーリング温度は64℃です。
プライマーpDGSL719-2(TGGGCCGCCCTTGATGGCTCATATT)とpS48 ( GAGGTGGGGAAAAATATGGGACGAAC)のIIの系ではアニーリング温度は69℃です。
573、457、493(377)、450(299)、273bpのバンドの有無が地理的タイプの判別指標となります。
マツタケの産地(原産国)は、写真の下端に示してあります。
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備考:
DNAデータベースのアクセッション番号
(
DDBJ
)
レトロエレメントの特性
AB028236 (gypsy-LTR タイプmarY1)
AB047280 (LINE タイプmarY2N)
本トレーサビリティー系関連の塩基配列
AB360715〜AB360740, AB363821〜AB36338
作成者:きのこ・微生物研究領域 きのこ研究室(平成20年4月1日作成)
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