十日町試験地 WEB博物館

高橋喜平さんの研究功績

最大積雪深計

高橋喜平氏は,冬季に現地へ行かずに最深積雪を知る方法として,最深積雪指示計(最大積雪深計)を考案しました(高橋,1968). 当時,積雪深を自動測定する測器は普及しておらず,積雪深を知るには現地に雪尺を設置して積雪深を測定するか,測深棒を使用して測定する必要がありました. 高橋喜平氏の最大積雪深計は,雪尺に高さ10 cm間隔で直径3㎜のアルミニウムの棒を10㎝の長さになるよう水平に差し込んだものです. アルミ棒は約10㎝の新雪に埋まると沈降力によって下に曲がるようになっています. この装置を降雪前に設置しておけば,消雪後に曲がったアルミ棒の高さから最大積雪深を知ることができます. 構造は極めて簡単ですが,±10cm以内の精度をもつことが確認されていて,電力を使えない山地において最大積雪深を測定する簡易な装置として現在も使用されています.

図1 最大積雪深計.高橋(1968)
図2 最大積雪深計の指示値と実測値の関係.(高橋,1968)

図3 最大積雪深による観測の様子 (十日町試験地)

図4 折れ曲がった最大積雪深計 (小松原湿原)