サルの被害防除は総合的に
サルによる農林業被害の発生原因には、実に様々な要因が複合的に絡んでいるようです。そこで、対策も多面的、総合的に行う必要があります。防除器具の改良とそれらの効果的な設置方法などを調べた結果、以下のことが明らかになりました。
1. 各種防除器具の改良と効果的な設置
市販ナイロン製ネット(5cmメッシュ)の張り方を替えて設置し、ネットを支柱から50〜60cm離して張った場合と密着させた場合を比較すると、前者では乗越えにかなりの時間がかかりました。また、ネットにワイヤー線を編み込み、ネット全体をアースすると、上部にプラスの電気線を1本通すだけで、必ず電気ショックを与えることができることも分かりました。今後、より効果的な侵入防止策を確立する必要があります。
2.地域における電気柵設置の基本的考え方
1)電気柵設置は農地を包囲する範囲によって個別型と広域型に分けられる。2)個別型では農地へのサルの侵入路を完全に遮断でき、農家ごとの管理責任が明確になる。3)広域型では農道などに沿わせて設置することで周辺の植生から隔離でき、アクセス・管理が容易になるが、管理責任が曖昧になり、河川や道路に侵入路が残る。