シカ被害を予防する
起きてしまった被害に対応するのは大変な仕事です。被害の発生傾向をよく知り,被害を未然に防ぐことが大切です。
九州地域では、試験研究機関と行政機関が協力して平成8、9年度に植栽した造林地におけるシカよる林業被害の発生状況について平成10年に約1,000カ所の調査を行いました。
1.
標高300m以上の地域は要注意
標高が高くなるにつれて被害発生地点の割合(棒グラフ)も高くなる傾向があり、標高300m以上の地域で被害が発生しやすいことを示しています。
このため、標高300mを越える中〜高標高地帯で造林する場合には、シカ被害に対応した防除対策を講じる必要があります。
2.
隣接地域で被害が発生している時は要注意
被害は地域的にまとまって発生する傾向が見られます。
様々な大きさの区画に区切って被害状況を集計した結果、被害の混在率(被害が発生している造林地と発生していない造林地が混ざっている区画数が占める割合)は1×1kmの区画でかなり低くなりました。このことは、ある場所で植林した時、その1×1km内にすでに被害が発生している造林地があれば、立地条件に関わらず被害発生の可能性が高いことを示しています。
近接地域での被害発生状況を事前によく調べた上で、造林地を選定することが重要なわけです。