被害発生とサルの生態・行動パターンを探る
農林業被害の発生している地域で、被害とサルの生態・行動、生息地の環境条件との関連について調べた結果、以下の特徴が明らかになりました。
1. 被害発生地域におけるサルの生態的特徴
1)S群では非交尾期(4月〜10月)の観察時間の70%以上を宅地周辺や農耕地で過ごしていた。 2)耕作放棄地、果樹の廃棄場、別荘地などの点在する地域が集中的に利用されていた。 3)民家周辺でくつろいだり、倉庫の収穫物を襲ったりするようになり、女性・高齢者を恐れなくなっていた。
2.農地から放棄・廃棄作物などの誘引する原因を除去
生態・行動パターンの調査から、農村には農作物以外にもサルにとって魅力的な餌が数多くあり、サルを引きつけていることがわかりました。被害軽減のためには防除施設の設置も重要ですが、廃棄農産物を深い穴に埋めるなど収穫される農産物以外の誘引する原因を農地から除去し、農地へ侵入しようとするサルの欲求を低くする必要があります。