シカ被害の拡大を防ぐ
各地で様々な被害の防止対策がとられていますが、被害の程度によって防止手段のコストと効果にばらつきがあります。そこで、これまで有効とされている各種の被害防止技術について、被害防止効果と設置・維持経費の両面から検討し、実用段階での効果的な対応の条件を調べました。
1.被害防止資材別の設置コストと効果
ラクトロンネット、ヘキサチューブおよびダンボールチューブによる単木処理では、コストがかさむものの、高い効果を示しました。一方、シカの視覚を遮断して侵入を防ぐ遮光ネット(遮光率50%)では一部の地域では効果がみられましたが、強風によって破損した試験地では100%の被害が発生したので、強風対策を講じておく必要があります。
今後は、それぞれの対応方法の特徴を考慮して、その地域に適した手段を講じる必要があります。
また、シカによる農林業被害は、生息密度や森林か農地かなどの土地利用を反映しています。その被害の程度は生息密度と強い相関関係にあります。そのため、被害発生やその対策を考える時には、シカの生息密度と地域における土地利用の状況を考慮する必要があります。
2.一般的な防除資材
(上部を補強した防護柵) (ネット架け) (ヘキサチューブ)