関東地方のカシノナガキクイムシ初発日予測モデル (v.2025-03-27)

はじめに

このモデルは2021-2024年の気象情報を元に構築した関東地方のカシノナガキクイムシの初発日を予測モデルです。
予測モデルは完璧ではなく、20日程度(場合によってはそれ以上)予測日より早い初発がある可能性があります。
この不確実性を考慮した上で予測日をご利用ください。

ナラ枯れ講演会(2025年2月19日)で紹介した2021-2023年のデータを使った解析では3月の気温だけで初発日が予測できましたが、2021-2024年の初発日を解析すると、3月の気温だけでは初発日がよく予測できませんでした。
そこで3〜4月の気象条件を用いてモデルを再構築しました(解析の詳細は解析手法を参照してください)。

再解析の結果、3〜4月の気象条件を使ったモデル方が少し予測力が高いという結果が得られましたが、できるだけ早く初発日を知りたい場合にも対応するため、3月の気象条件を用いて初発日を予測するモデル、3〜4月の気象条件で初発日を予測するモデルの2つのモデルを構築し、Excelファイルで計算可能にしました。
モデルの予測力の違いについてはモデルの予測力を参照してください。

ダウンロード

使い方

各部の説明

Excelファイルには日平均気温を入力するセル、降水量を入力するセル、最深積雪を入力するセルがあります。
これらのセルに値を入力すると、自動的に予測初発日が計算されます。
実際の初発は予測初発日の20日前になる可能性があるので、予測初発日の20日前の日付も同時に計算されます。
また予測に使われているモデルの種類や、計算の問題点はメッセージ欄に表示されます。

メイン画面

予測値の計算

以下の手順で気象データを入力すると、予測値を計算することができます。
2025-03-27時点で気象庁のデータダウンロードサービスが停止しているので、以下の手順でデータを入手してください。

  1. 気象庁のWebサイトの過去の気象データ検索ページを開き、ページ一番左の地点の選択から初発日を予測したい場所と気象条件が一番近い地点を選びます。
  2. 年月日の選択から予測したい年を選び、3月もしくは4月を選びます。
  3. データの種類で日ごとの値を表示を選びます。
    気象庁のWebページ
  4. 表示された表から平均気温・降水量・最深積雪をコピーし、Excelファイルの指定されたセルに貼り付けます(平均気温・降水量は表全体をコピーし、一度新しいExcelファイルに貼り付けを行うと作業しやすいと思います。最深積雪は一番大きな値だけを入力すればOKです)。
    必要なデータ
  5. 3月の気象条件で予測を行う時には3月の平均気温と最深積雪を入力して下さい。
    3月の気象条件で予測
  6. 3〜4月の気象条件で予測を行う時には3〜4月の平均気温と降水量を入力して下さい。
    3月の気象条件で予測
  7. データを入力すると、初発日予測のところに予測値が表示されます。
  8. 入力値や予測値に問題がある場合はメッセージ欄に表示されます。
    • 3月の気象条件を使った予測値を表示しています。:表示されている予測初発日が3月の気象条件を使ったモデルで計算されているときに表示されます。
    • 3-4月の気象条件を使った予測値を表示しています。:表示されている予測初発日が3〜4月の気象条件を使ったモデルで計算されているときに表示されます。
    • 〜〜を全て入力して下さい。:必要なセル全てにデータが入力されいてない時に表示されます。
    • 〜〜の数値ではない値を修正してください。:数値ではない値が入力されているときに表示されます。降水量の--は無視されます。
    • モデル構築時よりも〇〇が低い/高い場所を予測しようとしています。想定よりも予測が外れる可能性があるのでご注意ください。:入力された気象条件がモデル構築に使った気象条件の範囲外の時に表示されます。予測初発日が大きく外れる可能性があるので、予測初発日を利用する際には注意して使ってください。
  9. 複数の地点の初発日を予測したいときには、Excelファイルのシートではなく、ファイル自体を複製して値を入力して下さい。

モデル詳細

解析手法

モデルの予測力

図に2021-2024年のデータで計算したモデルによる予測初発日と実測の初発日との関係を示しました。
図1は3月の気象条件を用いたモデル、図2は3〜4月の気象条件を用いたモデルの結果です。
実線は予測日と実際の初発日が等しい条件を示し、粗い点線は実測日が予測初発日の前後10日になる条件を、細かい点線は前後20日になる条件を示しています。
2本の粗い点線の間の点は予測値と実測値のずれが10日以内の調査地点を、2本の細かい点線の間の点を表します。
図1図2を比べると、3月の気象条件だけよりも3〜4月の気象条件を使ったモデルの方が、予測初発日と実際の初発日の関係が直線に近づきますが、どちらのモデルでも予測値よりも最大で20日程度実際の初発が早く起こる調査地点があることがわかります。
このため、予測された初発日よりも20日前を目処に対策などを行うことが望ましいと考えられます。

図1: 3月の気象条件を用いたモデルでの予測初発日と実際の初発日の関係

モデルのR2 = 0.61です。
予測値と実測値の関係(3月モデル)

図2: 3〜4月の気象条件を用いたモデルでの予測初発日と実際の初発日の関係

モデルのR2 = 0.64です。
予測値と実測値の関係(3〜4月モデル)

謝辞

連絡先

ご質問やプログラムの問題点などがありましたら以下の連絡先にご連絡ください。